「売って終わり」は危険信号、クラウド・サブスク時代の“BtoBサポート”のあり方

“良いものさえ作れば売れる”時代は終わり、顧客に良質な体験をもたらし関係を構築する「顧客体験(CX)」がこれからのビジネスには求められている。そこで注目されているのが、企業と顧客を結びつける窓口、“サポート部門”だ。だが、BtoBビジネスにおいては、電話とメールによる属人的な対応がまだまだ主流だ。本当にそれで良質な顧客体験を提供できるのか。ユーザー急増に対応したRPA運用部隊の例を挙げながら、BtoBビジネスのサポートを考える。

記事のポイント

RPAビジネスが急成長、電話とメールによるサポートが限界に

 クラウド技術およびサブスクリプションモデル(定額制)の普及によって“モノ”をあまり介さなくなった分、サービスの乗り換えはかつてと比べ容易になった。そのためBtoCを中心に「顧客体験」を重視する傾向が強くなっている。「顧客体験」に特に影響を与えるのは、直接顧客に対応するサポート部門だ。すでにBtoCの領域ではチャットやメッセージアプリでの対応をするなど、コンタクトセンターの高度化が進んでいる。しかし一方で多くのBtoBビジネスのサポートは、いまだに電話とメールに依存しているケースが少なくない。

 もちろん、BtoCに比較すると製品やサービスあたりのユーザーの絶対数が少なく、求められるサポートの内容・質が異なるという面はあるが、電話とメールによるサポートではどうしても社内でのナレッジ共有が進まず属人化してしまいがちだ。その結果、サポート品質が低下し、顧客が競合に乗り換えてしまう……という事態は、十分にありうる。

 NTTアドバンステクノロジのRPA製品「WinActor®(ウィンアクター)」の代理店としてサポート対応するSCSK 中川 直樹氏もその問題に直面した。WinActor®はサブスクリプションモデルであり、まさにサポートに魅力がなければ他社への乗り換えが実際に発生する製品だ。「2017年にビジネスを立ち上げて以降、ユーザーは急速に増えていったが、電話とメールによるサポートがすぐに限界を迎えた」と中川氏は語る。

「WinActor®部門を立ち上げた当初は、電話とメールでお客さまからの問い合わせに対応し、Excelで情報を管理していました。しかしビジネスが急拡大し、すぐに管理が困難になりました。たとえば、誰がどのお客さまにどのような回答をしたかを迅速に把握できず、さらにナレッジの蓄積・共有ができないため、似た内容の問い合わせに何度も同じ回答を返すといった効率の悪さが目立ちはじめたのです」(中川氏)

 そこで同部門では、サポート業務を支援する新たなプラットフォームを導入することになった。それが、SCSKの「CarePlus Cloud」だ。「CarePlus Cloud」の開発を担当した樋口 貴志 は次のように説明する。

「CarePlus Cloudは、BtoB製品・サービスのサポート業務を支援するクラウドサービスです。弊社ではさまざまな製品・サービスを取り扱っていますが、各部門で電話とメールによるサポートに課題を抱えていました。そこで、その課題を解決する仕組みとして、2015年頃から検討が始まり、製品化されたのがCarePlus Cloudです。現在では、弊社の約190の製品・サービスのサポート業務で社内導入されるとともに、ITベンダーや金融などの外部のお客さまにも活用いただいています」(樋口)

 CarePlus Cloudの特長は、電話やメールによる問い合わせを減らし、Webに集約することで、サポート品質の向上と業務の効率化を両立できることだ。具体的な機能としては、専用ポータルの作成、問い合わせ回答、掲示板、ドキュメント管理、全文検索、FAQの作成……等々が用意されている。

いかにして、電話とメール頼みから脱却したのか

 こうして、SCSKのRPA部門はCarePlus Cloudを導入し、電話とメールによるサポートからの脱却を目指した。その成果について、中川氏は次のように説明する。

「CarePlus Cloudでは、お客さまからの問い合わせとサポートからの回答が、Webを通じて行われます。このため、すべてのやり取りがナレッジとして蓄積され、情報を素早く検索できます。その結果、サポートの効率化とともに、担当者の能力に左右されない安定した品質のサポートが可能になりました」(中川氏)

 さらに同部門では、問い合わせの多い内容をまとめ、ユーザーが直接参照できるFAQをCarePlus Cloudで作成した。その結果、新規顧客の問い合わせは、導入直後が最も多く、徐々に減少する傾向が顕著になったという。

 また、顧客への情報発信を安全かつ迅速にできるようになったことも、CarePlus Cloudの導入によって得られた成果だ。

「代理店ビジネスでは、製品の最新情報や不具合の緊急対応などをお客さまに迅速に配信することが求められます。従来はメールを使っていたため、誤送信などのリスクもありましたが、CarePlus Cloudにより、登録済みのユーザーに情報を安全かつリアルタイムに届けられるようになりました」(中川氏)

 さらにもう1つの重要なポイントが、CarePlus Cloudを使ってRPAのライブラリを提供できるようになったことだ。

「WinActor®には、ライブラリと呼ばれるロボットの部品があります。ライブラリを利用することで、ロボットを効率的に作成できるのですが、弊社では、標準では提供されていない独自開発したライブラリをCarePlus Cloudに公開し、無償でダウンロードして利用していただけるようにしています」(中川氏)

 公開されているライブラリは、さまざまな企業でWinActor®を導入してきたSCSKの技術者が開発したものだ。こうした便利なライブラリがあれば、それだけユーザーの負担が軽減され、問い合わせも減る。それは、電話とメールによるサポートでは、決して提供できない“付加価値”そのものだ。

 「WinActor®の契約更新率が高いのはCarePlus Cloudによるサポートの提供に満足いただいているからかもしれません」と中川氏は話す。

ステークホルダーの多いBtoBのサポートに不可欠な機能とは

 BtoBのサービス・製品では、サポート部門が技術や営業などの他部門と連携して対応するケースが少なくない。たとえば、顧客からの問い合わせに技術部門が対応し、その結果を受けて、営業部門が必要な資料を顧客に届けたり、新しい製品につなげたり……といったことがひんぱんに発生する。これは、BtoCのサポートとの大きい違いだろう。

 CarePlus Cloudには、こうしたケースを想定した機能も用意されている。それが、詳細なアクセス権限の設定機能だ。

「たとえば、自社の営業部門には、担当している顧客の情報へのアクセスだけを許可し、ほかの顧客の情報は見せないようにできます。また、サポートする側も、新人は直接回答できないようにしたり、お客さま側でも問い合わせができる/できないユーザーを設定できたりと、柔軟なアクセス権限の設定が可能です」(樋口)

 もちろん、クラウドサービスなので、スモールスタートできるのもメリットだ。たとえば、特定の部門や製品でCarePlus Cloudを導入し、効果を確認した上で横展開を図っていくことも容易である。中川氏は「CarePlus Cloudがあることは、数あるWinActor®の代理店の中から当社を選んでいただく大きな武器であると考えています」と語る。

 WinActor®部門では、ビジネスの拡大に合わせてCarePlus Cloudをさらに活用することも検討している。

「今後は、WinActor®の二次代理店を広げていく計画もあります。その際に問題になるのが、サポートの品質を落とさないことです。そのために代理店にもCarePlus Cloudを使ってもらい、我々が直接サポートを提供する仕組みを検討しています」(中川氏)

 BtoBの領域でも「売って終わり」の時代は終わりつつある。その結果、重要になるのが「サポート」だ。特に製品・サービスそのもので差別化が難しい場合は、サポートこそが差別化のポイントとなる。この事実に気づいたら、もはや電話とメールによるサポートでは心もとなくなるだろう。電話とメールによるサポートが限界を迎える前に、ぜひ、「CarePlus Cloud」に注目していただければと思う。

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