BtoBの商流や慣習に特化した機能と柔軟なサポートが決め手。
EDA保守サポートにCarePlus Cloudを採用し、
「情報の見える化」で顧客満足度が向上
イノテック株式会社 ICソリューション本部が提供するEDAソフトウェアの保守サポートは、「複数のベンダー製品」「顧客ごとの異なる利用環境」「高度な専門知識」が絡み合い、対応が複雑化しやすい業務です。こうした業務において、一般的なBtoC向けサポートツールや自社開発システムでは、顧客との情報共有と業務効率化の両立が難しいという課題が生じる傾向があります。
イノテック株式会社は、創業以来培ってきた技術商社の知見と、メーカー機能を併せ持つ、エレクトロニクス分野のトータルソリューション・プロバイダーです。EDAソフトウェア(※1)をはじめとする技術製品の販売から保守サポートまで広くサポートしています。同社では、20年以上運用してきた社内開発システムの限界と、顧客からの要望を受け、BtoB専用のカスタマーサポート業務基盤「CarePlus Cloud」を2025年に導入しました。 今回は同社ICソリューション本部 業務推進室に所属する宇部 努氏、竹下 誠氏に、導入の経緯から活用内容、得られた成果までを詳しく伺いました。
※1 EDA(Electronic Design Automation):半導体チップの設計を自動化・効率化するためのソフトウェア群の総称。回路設計、シミュレーション、レイアウト検証など、半導体開発の各工程を支援する。
記事のポイント
イノテックが担う、高度なEDA保守サポートとは
―― ICソリューション本部 業務推進室はどのような役割を担っているのでしょうか?
宇部氏 ICソリューション本部では、複数のEDAベンダーと代理店契約を締結し、日本の電子部品メーカーやシステムメーカーにEDAソフトウェアの販売から保守サポートまでを提供しています。業務推進室は営業支援・契約関連・技術支援などを幅広く担っており、保守サポートシステムの管理、お客様からの技術問合せの受付、サポート担当者へのアサインなども私たちの業務の一つです。
―― EDAソフトウェアの保守サポートとは、具体的にどのような業務でしょうか?
宇部氏 EDAは世界市場において、欧米ベンダーが圧倒的なシェアを誇っています。私たちは複数のEDAベンダーと代理店契約を結び、国内での販売・サポートを行っています。
サポート内容は、インストール関連の問い合わせ対応や使い方のレクチャー、パラメータ設定、エラーの原因調査・対処法の提案などです。この他に、ソフトウェアに不具合があれば開発元へのレポートと改修依頼をかけるなど、業務は多岐にわたります。
竹下氏 私は窓口担当として、問い合わせ内容をもとにサポートエンジニアをアサインし、回答が完了するまでのフローを管理しています。問い合わせ対応は一問一答で終わるケースは少なく、再現データの作成などで複数回のやり取りが発生することもあります。平均5〜6回、多いときは20回を超えることもあります。
20年以上稼働した社内開発システムが抱えた「3つの限界」
―― CarePlus Cloud導入以前は、どのような仕組みで保守サポートを運用されていましたか?
宇部氏 20年以上前、社内のIT部門が保守サポートシステムを独自開発しました。お客様が増え、メールだけではSR(※2)を管理しきれなくなったことがきっかけでした。このシステムの主な目的は、社内でのSRステータス管理と対応漏れ防止でしたが、Q&Aの社内共有データベースとしても機能していました。ただ、お客様とのやり取りはメールのみで、システムへの登録・アサイン・通知・回答はすべて手作業でした。
その後、開発者が退職し、社内での機能追加や改修ができない状態になってしまいました。
※2 SR(Service Request):ITサービスや製品において、サポート担当がユーザーから受け付ける各種質問や標準的な変更に関する問い合わせ。
―― どのような課題が顕在化してきたのでしょうか?
宇部氏 最も大きな課題は、「お客様側からSRのステータスや過去のQ&A履歴などの情報が確認できない」点でした。お客様側が見られるのは、当社とのメールのやり取りのみであったため、同じ会社の方から、既に回答済みの内容について再度お問い合わせをいただくケースも頻発していました。
数年前から複数のお客様より「Q&A履歴やステータスを確認したい」「社内の他のメンバーとも共有したい」という要望が上がってきており、対応の必要性を強く感じていました。
竹下氏 手作業の煩雑さも課題でしたね。メールで届いた問い合わせをコピペでシステムに転記し、画像はディスクに保存してから添付する——など、1件のアサインまでに複数の手作業が発生していました。また、EDAソフトウェアのサポートでは、GUI画面のキャプチャを文章の途中に挿入する形でのやり取りが欠かせません。しかし開発者退職後は画像挿入機能の追加もできず、インターフェース面での改善が難しい状況でした。
- 顧客側からQ&A履歴やSRステータスを確認できない
- SR受付からアサイン・通知・回答まですべて手作業
- 開発者退職により機能追加が不能に
選定の決め手は「BtoB特化の機能と迅速な機能追加対応」
―― CarePlus Cloudの導入を検討したきっかけを教えてください。
宇部氏 あるお客様から「対応状況を毎週・隔週で確認させてほしい」という要望をいただき、エクセルで状況を共有する運用を始めたことで課題が明確になりました。社内で「お客様自らシステムにアクセスして確認・共有できる仕組みが必要だ」と判断し、新システムの検討に動き出しました。
―― 他のシステムとの比較検討はどのように行いましたか?
竹下氏 他のWebベースのサポートシステムとも比較検討しましたが、競合製品はBtoCを想定した設計が多く、「顧客内の複数メンバーへのメール通知」「顧客内関係者の柔軟な追加」「SR本文への画像挿入」など、当社の運用に必要な機能が不足していました。一方でCarePlus Cloudには、こうした機能が標準装備されていました。
SCSK樋口 競合製品の多くはBtoCを主軸に設計されており、結果的に導入実績も多いコンシューマー向けのユースケースが優先されます。また、個人利用のサポートツールには「顧客社内の複数メンバーに情報を共有する」という要件はそもそも想定されていません。CarePlus CloudはBtoB専用に設計されているからこそ、イノテック様の運用に必要な機能が最初から備わっていました。
―― 最終的にCarePlus Cloudを選んだ決め手を教えてください。
宇部氏 竹下も述べた通り、CarePlus Cloudは当社が必須とする要件を満たしていました。この他にも、お客様ご自身でメッセージに宛先を追加できる機能や、お客様側でSRをクローズできる機能など、BtoBならではの使い勝手も際立っていました。
もう一つの大きな決め手が、SCSKの機能追加対応の迅速さです。評価時に20件の改善要求を提出しましたが、うち約10件は契約前に対応していただきました。残りについても優先度に応じたスケジュールを提示していただき、信頼できるパートナーだと感じて導入を決めました。現在はほぼすべての要求が対応済です。
SCSK樋口 すべての改善要求に対応できているわけではありませんが、イノテック様からリクエストをいただいた機能の中には、以前より複数のユーザー様から共通して寄せられていたものも含まれており、イノテック様のフィードバックが既存ユーザーへの機能強化を後押しする形にもなりました。また、他のユーザー様でも有効活用いただけると思われる機能も多く、当社としても大変参考になりました。
- BtoBに特化した機能面
- サポートに欠かせない「画像挿入機能」が標準装備
- 迅速な機能追加対応
EDA保守サポートの新フロー。問い合わせ受付からクローズまでをCarePlus Cloudで一元管理
―― 現在のCarePlus Cloudを使ったサポートフローを教えてください。
竹下氏 まず、お客様がCarePlus Cloudから新規問い合わせを登録すると、サポート窓口と製品担当グループには通知メールが、お客様には受付メールが即座に自動送信されます。
次に、窓口側でサポートエンジニアへSRをアサインすると、担当者とそのグループにアサインメールが届きます。そしてエンジニアが回答を公開した際にも、お客様と社内双方に通知が飛びます。
その後、お客様が回答を確認し、「追加質問」か「クローズ」を選択していただきます。追加質問があれば再度回答プロセスを繰り返し、解決時にクローズを選択いただくと完了通知が届くというフローです。以前は受付やアサインの通知もすべて手動でした。
―― 実際に使ってみて、特に便利さを実感している機能を教えてください。
宇部氏 アラート機能が特に助かっています。未アサインや未回答の案件に対してアラートメールが届くので、担当者だけでなくグループ全体で対応状況を把握できます。ベンダーの対応待ちで長期化する案件も定期的にリマインドされるため、対応漏れを防ぐ仕組みとしても機能しています。
また、新規問い合わせ通知がグループ全員に届くため、空いている担当者が自分でアサインして対応を進められるようになりました。
このような通知メールの宛先も、通知の種類に応じて、担当者・マネージャー・グループと細かく設定できます。管理職が頻繁にログインしなくても全体の状況をメールで把握できる点も便利です。
竹下氏 お客様側でQ&A履歴を共有できるのも大きなメリットです。お客様が社内のメンバーと過去のQ&A履歴を共有できるため、ナレッジデータベースとしても活用いただけます。
お客様側でユーザー管理もできるので、担当者の異動・退職に伴うユーザー変更もお客様側で完結します。
導入後約半年で実感した変化
―― 導入から約半年が経ちましたが、最も変化を実感している点はどこでしょうか?
竹下氏 SR受付からアサインまでの手作業工程が大幅に軽減されました。以前はメールの文面をコピペで転記し、画像は別ウィンドウで操作してから添付し、CCに追加するアドレスを手入力して、受付通知メールも手動送信する――など、複数の作業が積み重なっていました。CarePlus Cloud上ではこれらがほぼワンフローで完結します。
宇部氏 アラート機能によって対応漏れの防止が仕組みとして機能するようになったことも大きな変化です。CarePlus Cloudはステータスが一目でわかるため、進捗管理がしやすくなりました。
―― お客様からの反応はいかがですか?
宇部氏 「非常に使いやすくなった」という声を複数のお客様からいただいています。導入から約半年が経ちましたが、お客様・社内担当者からの苦情・クレームは一件もありません。お客様側でQ&Aの社内共有が進んだことで、自己解決できるケースも生まれています。今後、同じお客様からの質問の重複も減っていくでしょう。
段階的に全顧客展開へ。さらなる活用拡大とCarePlus Cloudに寄せる期待
―― CarePlus Cloudの今後の展開予定を教えてください。
宇部氏 数社のお客様のパイロット運用を終え、今後はすべてのお客様に展開していきたいと考えています。お客様ごとに異なるWebシステムへの習熟度や環境を考慮しながら、丁寧に移行フォローをする方針です。これまでのメールベースのサポートに慣れ親しんだお客様に対しても、情報共有の容易さやナレッジ蓄積のメリットをしっかりお伝えしながら、順次進めていきたいです。
―― 今後、CarePlus Cloudに期待する機能や活用の広がりはありますか?
竹下氏 製品ごとの契約期間・本数をCSVでインポートして一括管理できる機能があれば、サポート可否の判断もより迅速になります。他のお客様でも同様のニーズがあれば、ぜひ機能として提供していただけると嬉しいですね。また、現在は各製品・各社ごとにシステム上で手動管理しているため、一元的なライセンス情報の可視化についても課題に感じています。
SCSK樋口 ありがとうございます。契約情報の一括インポートについても、他のお客様からも同様のニーズが出てくれば積極的に対応を検討していきたいと考えています。
宇部氏 CarePlus Cloudは、顧客満足度向上に役立っています。今後、より多くのお客様にこの便利さを体感していただきたいです。





