カスタマーサポートにおけるAI活用事例 ~ナレッジのキーワード検索~

更新日:

SCSK株式会社、BtoBカスタマーサポートツール「CarePlus Cloud」担当です。

カスタマーサポートは、顧客満足度やロイヤリティに大きく影響する重要な業務です。しかし、カスタマーサポートには、多くの問い合わせ対応に時間がかかるため、人手不足や対応工数の問題が発生します。ChatGPTをはじめとする生成系AIを活用することで、カスタマーサポートの効率化や品質向上が期待できます。

本記事では、カスタマーサポートにおけるAI活用事例の第1弾として、ナレッジのキーワード検索について紹介します。

まずは資料ダウンロード(無料) >

カスタマーサポートのAI活用における「ナレッジのキーワード検索」とは?

カスタマーサポートにおいてお客様から問い合わせを受け付けた場合、経験豊富なサポート担当者は、重要なキーワードを使ってサポート対象のシステム、過去のナレッジやFAQなどを検索します。しかし新人など経験が浅いサポート担当者では、どのようなキーワードで検索すればわからないケースもありますが、AIの力を借りて重要な単語やフレーズを抽出することにより、長文の問い合わせから短時間で要点を把握し、適切な対応に繋げることができます。

例えば、以下のような問い合わせがあったとします。

「商品が届きませんでした。注文番号は123456です。」
「製品の使い方がわかりません。マニュアルを教えてください。」
「契約内容を変更したいのですが、どうすればいいですか?」

この場合、AIが抽出するキーワードはそれぞれ以下のようになります。

「商品」「届かない」「注文番号」「123456」
「製品」「使い方」「マニュアル」
「契約内容」「変更」

AIが自動的に抽出したキーワードをもとに、サポート対象のシステムやカスタマーサポートツールの検索機能を活用すれば、担当者が一から調べる手間を減らし、過去の類似事象などを参考にすることができます。

ただし、AIはあくまでも支援ツールです。FAQが充実している、そもそも問い合わせ内容が難解でない、などであればAIが一発で理想の回答を作成してくれることもありますが、そもそものサポート対象のシステムや問い合わせ意図の理解、最終回答の品質確認といった部分では、まだ人間であるサポート担当者の判断が不可欠です。AIが情報を整理し、必要に応じて人間が顧客に寄り添った回答を行う——これがAIカスタマーサポートの理想的な形といえます。

ナレッジのキーワード検索事例

ナレッジのキーワード検索をカスタマーサポートで活用する事例として、本サービス「CarePlus Cloud」の例を紹介します。お客様からのお問い合わせ受付時、生成系AI(ChatGPT)で抽出したキーワードで関連するナレッジ(過去QA/FAQ/マニュアル等のドキュメント)を自動検索し、回答候補を抽出します。

例えば、以下のような問い合わせ内容があったとします。

mlメール廃止に伴いFromメールアドレスの変更を試みたのですがセキュリティコードが必須との事で調査、連携頂く事は可能でしょうか?
※「mlメール」はメーリングリスト専用のサブドメイン、「Fromメールアドレス」はサポート対象システム用語でメールの差出人アドレスを指します
Fromメールアドレス設定画面



この場合、キーワード抽出の結果は以下のようになります。

・「mlメール廃止」「Fromメールアドレスの変更」「セキュリティコード」

そして、これらのキーワードに基づいて、以下のような回答候補が表示されます。


タイトル:Fromメールアドレス変更について
検索ハイライト:Fromメールアドレス変更について...

タイトル:サービス管理登録時のfromメールアドレス
検索ハイライト:サービス管理登録時のfromメールアドレス...

タイトル:2021年6月23日の定期メンテナンス情報について
検索ハイライト:におけるFromヘッダのなりすまし/ドメイン詐称を防止するためのセキュリティ強化 3. メール通知機能における文字コードを「iso-2022-jp/7bit」⇒「UTF-8/8bit」に変更します 【バグの修正...



このように、キーワード抽出によるナレッジ自動検索によって、経験の浅いカスタマーサポート担当者でも、問い合わせ内容に応じた適切な回答を素早く見つけることができます。

また、カスタマーサポート担当者によってはお客様のお問い合わせに対して、すぐに回答を書こうとしてしまうかもしれませんが、回答候補が自動的に表示されることで、既存のナレッジを有効活用したり、模範解答を参考にしたり、といったことができるため、お客様に回答するアプローチが変わり、業務の効率化が見込めます。

(関連記事)カスタマーサポート改善のためのAI活用に関するレポート ~製品サポート編~

カスタマーサポートにおけるAI活用事例 ~ナレッジのキーワード検索~

カスタマーサポートにおけるAI活用のメリット

前章の事例にもあるように、AIを活用したカスタマーサポートには多くのメリットがあります。ここでは、具体的な場面を交えてご紹介します。

問い合わせの分類や優先度の判定が容易になる


問い合わせの分類や優先度の判定が容易になります。例えば、キーワードに「緊急」「キャンセル」「返品」などが含まれている場合、高い優先度で対応する必要があると判断できます。

また、キーワードに「製品」「サービス」「料金」などが含まれている場合、それぞれのカテゴリーに分類できます。これにより、問い合わせの管理やFAQの整備がしやすくなります。

問い合わせの傾向や顧客のニーズを分析しやすくなる


問い合わせの傾向や顧客のニーズを分析しやすくなります。例えば、キーワードの出現頻度や関連性を調べることで、顧客がどのような問題や要望を持っているかを把握できます。

また、キーワードの変化や差異を調べることで、問い合わせのトレンドを分析することができます。これにより、カスタマーサポートの改善やサービスの開発に役立ちます。

対応スピードの向上


AIが問い合わせ内容からキーワードを抽出し、関連するFAQやマニュアルを提示することで、対応時間を大幅に短縮できます。

品質の均一化と属人化の解消


これまで経験豊富なベテランのサポート担当者に頼りがちだった回答品質・精度も、AIが支援することで均一化できます。

結果として、個人依存だったナレッジがチームの共有財産となり、「ベテラン頼み」の属人化したサポート体制から「チーム全体で支える」サポート体制へと属人化の解消が図れます。

顧客体験(CX)の向上


AIを活用することで顧客へのレスポンスが早くなり、「すぐに答えてくれた」「いつも丁寧に対応してくれる」という印象を強められ、顧客満足度向上に繋がります。

(関連記事)カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例2 ~回答/FAQ作成支援機能~

カスタマーサポートにおけるAI活用のデメリット

AIを活用したカスタマーサポートにはデメリットも存在します。AIの力を最大限活かすためには、その限界を理解し、適切に運用することが重要です。

誤認識や不正確な回答(ハルシネーション)


AIが問い合わせ内容を解析する過程で、一部の専門用語や特有の言い回しを誤って解釈することがあります。

このようなケースを防ぐため、サポート対象の製品/システムの専門用語や機能など、AIモデルが持つ情報を補足できる機能が必要となります。

導入・運用コストとデータ整備の難しさ


カスタマーサポートにおいてAIを有効活用するためには、FAQやナレッジなどコンテンツの充実化が必要となります。

また、「導入してすぐに効果が出る」とは限らず、実業務で使えるようにするための精度向上や運用定着するまで、精度検証の時間が必要となります。

上記のような課題に対応し、FAQ自動作成機能や利用ボリュームに応じた料金プランなど、自社の状況に応じた段階的な導入を可能とする仕組みも必要です。

よくあるご質問

Q:ナレッジのキーワード検索でAIを活用する場合、まずどこから始めれば効果が出ますか?


A:
まずはエラーメッセージ/コードから対処方法を導き出すFAQなど、定型化されたナレッジを準備して検索させる仕組みを整えることがお薦めです。

Q:AIが抽出したキーワードによるナレッジ検索の精度を高める方法はありますか?


A:
抽出キーワード数の上限、AND/OR検索の使い分け、検索するナレッジの更新日によるフィルタを定義し、定期的に見直すことで、陳腐化したナレッジの検索を抑止できます。また、タイトルやキーワードをハイライト表示することで、サポート担当者が「使えるナレッジ」を素早く見極められます。

Q:「AIを活用したキーワード検索」と「人間によるキーワード検索」はどちらの精度が高いですか?


A:
両者は二元論で比較するものではなく、お互いに補う方法が現実解です。AIによる検索は人間による検索漏れのフォローや別の観点からの示唆が期待できますし、AIによる検索結果から、さらに人間がキーワードを追加/修正することで精度を高めることもできます。

Q:AIを活用したキーワード検索結果の精度はどう測定するのがよいですか?


A:
代表的な指標として、検索結果上位に表示される候補の有用率(例:上位10件のうち有用な割合)、一次回答までの時間短縮、人手による検索キーワード修正率などが挙げられます。なかでも、上位候補の有用性はコンテンツ(FAQ、ナレッジ)の充足度に強く依存する傾向が見られます。

まとめ

AIを活用したカスタマーサポートの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、顧客満足度の向上にも大きな効果をもたらします。特に「ナレッジのキーワード検索」技術は、問い合わせの要点を瞬時に捉え、適切なナレッジを導き出す重要な役割を果たします。

CarePlus Cloud」はSCSK株式会社が長年に渡り培ってきたサポート業務の経験とノウハウを活かし、BtoBならではの商流/慣習に対応した業界で唯一BtoBサポート業務に特化したカスタマーサポートツールで「ナレッジのキーワード検索」にも対応しています。

ご興味がある方は、資料ダウンロード(無料)をご検討ください。

資料ダウンロード(無料)
資料ダウンロード(無料)

人気記事

サービス資料ダウンロード

この記事の執筆者

SCSK株式会社「CarePlus Cloud」担当:
「CarePlus Cloud」は、BtoBならではの商流/慣習に対応した国内有数のBtoB専用カスタマーサポートツールです。
「関係者との連携強化」と「お客様の情報共有」により、法人向け問い合わせ管理業務の効率化を実現します。

新着記事

コラム一覧を見る

お問い合わせ

ご質問、ご相談、お見積りの依頼などお気軽にお問い合わせください。

簡単1分 お問い合わせ

これ1つでCarePlus Cloudのすべてがわかる! 資料ダウンロード(無料) 資料URLをメール送付(無料) 無料トライアル申し込みはこちら