カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例3 ~RAGを活用した自動回答作成機能~

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SCSK株式会社、BtoBカスタマーサポートツール「CarePlus Cloud」担当です。

カスタマーサポートは、顧客満足度やロイヤリティに直結する重要な業務です。しかし、問い合わせが増えるほど、対応の属人化・回答作成の工数増加・ナレッジ検索の難しさなど、現場の負担も大きくなります。 近年、ChatGPTをはじめとした生成AIの進化により、問い合わせ対応における「スピード」と「品質」の両立が現実的になってきています。

本記事では、カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例の第3弾として、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)を活用した自動回答作成について紹介します。

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RAGを活用した自動回答作成機能とは?

生成AIによる回答作成と聞くと、“万能な自動応答”をイメージしがちです。ただし、実際のBtoBサポートでは専門知識が必要とされ、製品バージョンや動作環境、契約範囲、運用ルールなども会社ごとに異なり、AIが持つ知識だけで回答するには限界があります。
そこで有効なのが RAGを活用した自動回答です。RAGは、生成AIが回答を作る前に、社内のFAQやナレッジを検索し、「根拠となる情報(参照データ)」を踏まえて文章を生成する考え方です。つまり、AIが“それっぽい”回答をしないよう、正しい情報を参照させてから回答を作らせる仕組みです。

今回のPoCでは、CarePlus Cloudに登録されたFAQをRAGとして活用し、問い合わせに対する回答作成を支援します。流れは以下の通りです。

1. お客様が問い合わせを投稿(QA新規投稿)
2. サポート担当者が問い合わせ内容をAIチャットボットへ転記
3. AIがFAQ(RAG)を参照して回答案を生成
4. 担当者が内容を確認・修正して回答に使用

ここで重要なのは、AIが自動で返信するのではなく、担当者が回答案を選定・確認した上で利用する点です。BtoBサポートはQA1件あたりの顧客に対する影響が大きく、誤回答が信頼に直結するため、現時点では“回答案としての活用”が現実的です。

(関連記事)カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例 ~ナレッジのキーワード検索~

(関連記事)カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例2 ~回答/FAQ作成支援機能~

カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例3 ~RAGを活用した自動回答作成機能~

カスタマーサポートにおけるAI活用のメリット

AI活用のメリットは「対応の迅速化」や「効率化」だけではありません。属人化を排除し“対応の質を揃えやすくなる”といったメリットもあります。

一次回答のスピード向上


AIが要点を整理し、回答案の骨子を作成してくれるため、一次回答までの時間短縮が見込めます。担当者はゼロから文章を組み立てる必要がありません。

対応品質の平準化


BtoBサポートは「関係者が多い」「顧客ごとに前提が違う」「商流や慣習が複雑」という特徴があります。こうした環境では、担当者の経験差がそのまま回答品質の差になりがちですが、AI活用によって経験差による回答品質のばらつきが減少します。

暗黙知の形式知化


RAGでFAQ(根拠)を踏まえた回答案を作れるようになることで“ベテランの頭の中にある暗黙知”を再現しやすくなります。

ナレッジ課題の“見える化”
さらに、AIが作成した回答を吟味することで、「FAQの不足」や「FAQの表現が曖昧」など、ナレッジの課題が“見える化”されやすくなります。これにより、FAQ整備が促進されるという副次効果も期待され、結果的に回答の品質が上がる――このサポートの改善サイクルを実現できるのがメリットです。

カスタマーサポートにおけるAI活用のデメリット

一方で、AIは導入直後から“完成品”として使えるわけではありません。使いどころを間違えると、現場の手戻りやお客様のクレームが増えることもあります。

誤認識・不正確な回答(ハルシネーション)


AI活用のデメリットとして代表的なのは、誤認識や不正確な回答(いわゆるハルシネーション)です。AIの文章が自然なほど、人が見落としやすいのが厄介なところです。従って、あくまでも「回答案」止まりにし、最終的な品質担保は担当者が行う運用が現時点での最適解と考えられます。

顧客ごとの前提違いが反映しづらい


BtoBサポート視点では、「顧客ごとの前提違い」がさらにAI活用を難しくする要因となります。たとえば同じ事象でも、機種や製品バージョンが異なる、カスタマイズ有無で手順が異なる――こうした条件分岐が多いと、FAQがあっても正しい製品の情報を参照できず、“どれが正しい”かが判断できなくなります。PoCでも、まさにこの課題が指摘されています。

FAQの不足や粒度の不統一


もう一つは“データ整備”です。RAGは「参照できるFAQがあること」が大前提です。FAQが不足している/類似FAQが多く鮮度がバラつく/検索ヒット率が安定しない、といった状態では、AIの回答も安定しません。

【PoCレポート】RAG自動回答作成の評価まとめ

ここからは、実際のPoCにおけるフィードバック評価について報告します。

ポジティブな評価(期待できる点)


あるユーザでは、作成された自動回答の42%が高評価となっています。特に「トラブルシュートの流れ・観点(ログ/疎通/設定確認など)を案内する手順が適切」という評価が得られています。
また、回答の詳細に多少のズレがあっても「全体像・方向性が合っていれば、回答のベースにできる(ゼロから作らなくてよい)」という声もあり、文章の土台としての価値が確認されています。

ネガティブな評価(課題として見えた点)


一方で、課題もはっきりしています。代表例は、FAQ不足、または「FAQはあるはずだがRAG参照できていない」という点です。(そもそも該当するFAQがなければRAGは機能しませんが・・・)
さらに、機種/製品系統で異なるコマンド・再起動要否などが判別できないケースも挙がっており、BtoB特有の条件分岐の難しさがそのまま出ています。

現時点では、AIに回答構成を作成し、細かいコマンドや手順内容は人間が確認するという運用がBtoBサポートにおける最適解となりそうです。

よくあるご質問

RAGを活用した自動回答作成は、すぐに自動返信までできますか?


A:
最終的なゴールはお客様への自動回答が理想ですが、一定の回答精度がない時点でそのようなアプローチをとっても見向きもされなくなるリスクがあります。
まずは担当者が確認・修正して使う“下書き”運用から始め、回答精度やナレッジをブラッシュアップしていくのが現実的と考えられます。

Q:PoCの前に準備しておくべきものは何ですか?


A:
現時点ではCarePlus Cloud内に登録するFAQ、およびサービス情報(概要、主要機能など)の準備が必要となります。

Q:FAQが少ないのですが、増やし方はありますか?


A:
CarePlus Cloudの「FAQ作成支援機能」をご検討ください。または、Copilotなどを活用したFAQを推奨します。

まとめ

本記事では、カスタマーサポートにおけるAI(ChatGPT)活用事例の第3弾として、RAGを活用した自動回答作成機能を紹介しました。
RAGは、FAQなどの根拠データを参照しながら回答案を作ることで、蓄積したナレッジを活用するアプローチです。PoC途中経過では、回答の土台として使える価値が見え始めている一方、FAQ不足や条件分岐の難しさなど、改善すべき点も明確になっています。

CarePlus Cloud」はSCSK株式会社が長年に渡り培ってきたサポート業務の経験とノウハウを活かし、BtoBならではの商流/慣習に対応した国内有数BtoBサポート業務に特化したカスタマーサポートツールで「ナレッジのキーワード検索」にも対応しています。

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